植物生産管理研究室

植物生産管理研究室(研究室代表 大山克己)

Laboratory of the Operations Management for Plant Production

 

 

目的

植物工場において、資源(たとえば、労働力、エネルギ、水)の利用を最小化し、かつ、植物の生産量を最大化・最適化するための生産管理手法を開発し、実証することを目的とする。

概要

本研究室では、研究室設置期間中、生産管理工学的観点から以下の①、②および③の3つの課題に取り組み、植物工場における省資源化および生産量の最大化・最適化、すなわち生産性向上に資することとする。

  1. 物質循環の解析
    植物工場には、気象条件に左右されずに、高品質な植物を安定生産できるという利点がある。その一方、その導入コストや運転コストは、従来の植物生産システム(たとえば、露地や小規模施設)と比べて高いという問題点がある。これを解決するためには、植物生産時における省資源化を目指すとともに、植物の生産量を最大化・最適化する必要が出てくる。ここでは、植物生産時における植物工場の物質循環の解析とその最小化を図る。あわせて、生産工程の違い(たとえば、苗のみ植物工場で生産する)による物質循環の実態把握とともに、生産面、経営面で利点および欠点を比較し、生産性向上のための知見を得る。
  2. 生産管理手法の体系化
    現在、大規模となった植物工場では、それを利用する際に大きな混乱が散見されるようになってきている(たとえば、作業者の不足に起因した作業遅れや作業遅れに起因した病害虫の蔓延)。大規模な植物工場を利用する場合、この混乱による経済的、社会的損失は、従来の小規模施設を利用する場合のそれらと比べて大きくなる。この混乱を避けるために、現在、申請者らは、植物工場における管理・運営の改善には、「人材(man)」、「方法(method)」、「計測(measurement)」、「設備(machine)」、「資材(material)」の、英語で頭文字がMである5つの項目(5M、Five M)のそれぞれの適正化が必須であると考えている。ここでは、植物工場においてこの概念を体系化することによって、生産性向上に資する。
  3. 新しい防除手法の開発
    植物工場では、高品質な植物を生産する上で、防除が重要な役割を担っている。ここで、害虫(昆虫類やダニ類)が植物工場内に侵入する(「持ち込み」と呼ぶ)と、害虫は爆発的に増加する傾向がある。これを防ぎつつ、環境調和型農業体系を構築するためには、従来の化学農薬に替わる防除手法を開発する必要がある。ここでは、植物を加害する害虫を対象として、植物の生育を阻害せずに殺虫効果を示す酸素(O2)濃度条件を、昆虫生理学、植物生理学および環境調節工学的観点から明らかにし、化学農薬に替わる持続可能な防除手法を開発する。
研究員(スタッフ)紹介
  • 研究代表者
    1. 氏名 大山克己(大阪府立大学・特認准教授)
    2. 専門領域 環境調節工学
    3. 研究所における役割分担 代表、総括
    4. ホームページ
    5. 主な業績
      Wang, C.-H., T. Suzuki, K. Ohyama, M. S. Ullah & T. Gotoh (2016): Anoxia treatment for selectively controlling spider mites Tetranychus urticae and Panonychus citri with little impact on the predatory mite Neoseiulus californicus, International Journal of Acarology:206-211
      大山克己、鈴木丈詞、ガジイ・ノルエディン・アブルハドル、天野洋(2016)生物農薬用容器及び生物農薬の保存方法、特許第5988241号(2016年8月19日登録)
      大山克己、田原哲(2016)植物育成棚、植物育成装置、及び植物育成方法、特許第6026033号(2016年10月21日登録)
  • 研究員
    1. 氏名 北宅善昭(大阪府立大学・教授)
    2. 専門領域 植物環境物理学
    3. 研究所における役割分担 分担(物質循環にかかわる研究に従事)
    4. 主な業績
      Shibuya, T., S. Kishigami, S. Takahashi, R. Endo, Y. Kitaya. (2016) Light competition within dense plant stands and their subsequent growth under illumination with different red:far-red ratios. Scientia Horticulturae 213: 49-54.
      Takemura, K., R. Endo, T. Shibuya, Y. Kitaya, Y. (2016) Modifications of concentrations of plant macronutrient ions in digestate from anaerobic digestion during nitrification processes. Journal of Residuals Science & Technology 13: 207-214.
      Shibuya, T., S. Hayashi, R. Endo, Y. Kitaya. (2016) Growth analysis and photosynthesis measurements of cucumber seedlings grown under light with different red to far-red ratios. HortScience 51(7):843-846.
  • 研究員
    1. 氏名 鈴木丈詞(東京農工大学・特任准教授)
    2. 専門領域 環境調節工学
    3. 研究所における役割分担 分担(防除にかかわる研究に従事)
    4. 主な業績
      Suzuki, T., C.H. Wang, T. Gotoh, H. Amano and K. Ohyama (2015) Deoxidant-induced anoxia as a physical measure for controlling spider mites (Acari: Tetranychidae). Experimental and Applied Acarology 65, 293-305.
      Suzuki, T., Y. Yoshioka, O. Tsarsitalidou, V. Ntalia, S. Ohno, K. Ohyama, Y. Kitashima, T. Gotoh, M. Takeda and D.S. Koveos (2014) An LED-based UV-B irradiation system for tiny organisms: System description and demonstration experiment to determine the hatchability of eggs from four Tetranychus spider mite species from Okinawa. Journal of Insect Physiology 62, 1-10.
      Ghazy, N.A., K. Ohyama, H. Amano and T. Suzuki (2014) Cold storage of the predatory mite Neoseiulus californicus is improved by pre-storage feeding on the diapausing spider mite Tetranychus urticae. BioControl 59, 185-194.